福祉に携わるみなさんとワークショップ

福祉のお仕事に携わるみなさんと

昨年、北秋田市基幹相談支援センター様の主催で行われたハート交流会(職員と利用者さんの双方が参加)に続き、今年はこのエリアで福祉に携わる職員のみなさんに向けた研修を行いたいとの依頼を受け、講師としてワークショップを行いました。

いただいたテーマは「もっと自由に『自分らしさ』を活かすために」

2回シリーズということで

1回目「自分らしさ」って? 強みと価値観を見つけよう(2024年10月16日)

2回目「自分らしさ」を活かして、仲間と仲良く働くために(2024年10月30日)

としました。

1回目「自分らしさ」って? 強みと価値観を見つけよう

アドラー心理学のエッセンスをふんだんに盛り込み、自分の良さを見つめ、そして仲間に見つけてもらいながら、自己受容(ありのままの自分を受け入れる)ということについて体験できる内容にしました。

13名の方にご参加いただき、4つのグループに分かれて話し合いができたことで、グループでの話し合いはとても活発になりました。

それぞれのグループからどんな意見や感想がでたのかもシェアすることができ、シェアする度に笑い声が起こり、終始リラックスしたムード(最後の感想では「すごく前向きに話し合えた」という声をいただきました)。

参加者さんは、北秋田市基幹相談支援センター、北秋田市障害者生活支援センター、北秋田障がい者就労・生活支援センター、社会福祉協議会の職員さん、北秋田市知的障害者相談員さん、民生委員さん。

普段から対人支援のお仕事をされている方々ですから、接するときの心がけとしても、そして自分自身に対しても、今日お伝えしたアドラー心理学の視点を活かしていただけたらとても嬉しいです。

良いところも、気になるところも、両方あるのが人間ですが、ついつい人は、欠けているところや悪い(と決めつけている)ところに目が行ってしまうものです。

「特性」として受け入れ、どう使うか(=使用の心理学)という視点を忘れずにいたいですね。

アドラー心理学は、実践の心理学。職場でも、家庭でも、子育てでも、どんなときもあなたに新しい視点と新しい対人関係をきっかけをくれるものと私は感じています。

最後のグループ内のシェアタイムで聞き耳を立てていたら、「今日の研修でスーパーポジティブになれた!」という声が聞こえてきたので、思わず私もニヤニヤ。こういうとき、とても嬉しい気持ちになります。

でも、ポジティブって、どんなことも無理矢理力づくで前を向こうとするものではありません。

落ち込んだとき、こんな自分はいけないと落ち込んでいる自分を否定して、ぐいっと180度転換して「どんなときも前向きでいなければ」と強がることがポジティブなのでもありません。

「ああ、自分は今落ち込んでいるんだなぁ」と一旦その自分を受け入れること。そして、この状況を乗り越えるために、さあ、今、何から始めようか、と自分の意志で前を向くことを選ぶ姿勢を真のポジティブだと私は捉えています。

そんな自己受容感を積み上げていくことが、「そうか、自分の中にはこんな力がちゃんとあったんだな」と自分を信頼していくことにもつながると思っています。

2回目「自分らしさ」を活かして、仲間と仲良く働くために

2回目のワークショップには、12名の参加者さんがあり、そのうち3名の方が2回目からとなりましたが、大丈夫、軽く復習してスタートします。

まずは、「仲の良い職場」って? というところを個人で考えてもらいましたが、「気を遣わない職場」と「気を遣える職場」という真逆の意見が出たのですが、これはアドラー心理学のメガネの理論にピッタリな例でしたね。とはいえ、これはまだまだ講座の序盤です。

この日は、「職場の苦手なあの人」について、こんなふうに考えてみてはどうか、というアドラー心理学的なご提案をしました。そのワークを終えた後で、参加者さんからとても率直な2つ感想が出ました。

①「ここに書いてある『批判精神がある』とか『はっきりモノを言う』と特性は、私には【長所】とは思えない」というもの。

いいですね! こんなとき、、私はこう受け止めます。思ったことを飲み込むのではなく、そのような感想が自然と飛び出すほど、このワークショップが開放的なものであったことの証拠です。

そして、私からお伝えしたことは、そこにはあなたの価値観、つまり大事にしているものが見えているということでした。きっと普段から、『受け入れること・まずは良しとすること』や『やんわり伝えること・傷つけないこと』ということを大事にされているのですね、と。

相手の特性が正しくないわけでも、それを許せない自分が悪いわけでもありません。

メガネのお話と併せて伝えたところ、とても納得されていました。

②もう一つは、苦手なあの人のいいところを探す、というワークの中で「すみません、一つも見つけることができません」というもの。

こちらも大変ありがたいご感想です。無理矢理見つけたところで、心では納得できないものですよね。こんな素直な意見が出ることで、講座はますます面白く、深くなっていきます。

そこで、とある秘策を披露しました。

注目するポイントを変える、というものです。実際にその人の様子を聞きながら、どこに注目したらよいのかのポイントを示してあげたところ、

さっきまで、苦手なその人のことを「すぐ逃げる」「あまり仕事をしない」「言い訳をする」と捉えていた参加者さんが

「あっ! 5秒で・・・いえ、3秒で『見方』が変わりました! なんだかその人のことが可愛く見えてきました!」という驚きの変貌ぶりです。

これは、職場の人だけではなく、自分のお子さんや、パートナーさんにももちろん使える方法です。

こんなとき、つくづく、アドラー心理学というものは、【自分を変える心理学】だなと感じます。

自分を変えるというのは、何も生まれ変わる必要はなく、自分の「見方」つまりメガネを変えればよいのです。

2回目のご感想としては、「人をもっと好きになれそうです」「まずは相手を知ることが大事」「相手の苦手なところを見ないように、忘れるようにとしていたが、見方を変えようとしたら、自分の良さにも気づけた」等々

参加者さんの中に、前向きな変化があったようです。良かった、お疲れさまでした!

2日間のワークショップを終えて

今回の参加者さんのお一人である障がい者就労・生活支援センター職員さんから「ぜひうちの施設で利用者さんに向けた研修をしてほしい」というありがたいご依頼につながりました。

障害という言葉もまた、アドラー流の視点で捉え直せば「特性」であり「財産」と言い換えることができるでしょう。

障害をもつ当事者の方にとっても、関わるみなさんにとっても、特性をありのまま受け入れ、自分を好きになることは、自分らしく生きていく力になる考え方に違いありません。

職員さんのお話では、利用者さんは「どうせ自分なんて」「私はダメだ」と思いがちとのこと。つまり、アドラー心理学では言えば、【勇気をくじかれている状態】です。

そんなときこそ、勇気づけ! 

年明けには講座を開催できるようです。お会いできるのを楽しみにしていますね。

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